〈第11回〉相手の感情に寄り添う言葉が解決策に
“自己満足”の「共感」になってませんか?
こんにちは、「人の印象の専門家」の吉武利恵です。
お客さまや取引先、上司などの目上の人だけでなく、相手が誰であっても、礼儀正しく、寄り添う姿勢がみえるとうれしくなりませんか?
人と接するには、相手への「敬意」と「思いやり」「共感」が大事だといわれます。
お客さまと接するとき、上司と会話をするとき、部下を育成するとき、家族や友人などと。これらはどの場面であっても、人と良好なコミュニケーションに敬意と思いやり、共感は欠かせません。
「敬意」「思いやり」「共感」はどういうこと?
「敬意」は尊敬の意を表す動作や言葉です。
尊敬する相手の前では礼の気持ちと、心を引き締めた態度を表現するために、姿勢を正したり、お辞儀をしたりなど、相手に見える形の動作をとります。言葉では、尊敬語や謙譲語、丁寧語を相手や場面に合わせて聞こえる形で伝えます。
次に、「思いやり」ですが、これは愛情や優しさを表現する行動や動作、言葉です。
人を助けたり、援助したりと人のために、自発的に動く態度や振る舞いが、思いやりの行動になります。代表的なものに、弱い立場の人に席や順番、道を譲ったりすることがありますね。
相手への気遣いや励ましも思いやりです。温かい眼差しや微笑み、肩や背中を優しくポンポンと叩いたりする非言語の動作でも、思いやりの心を伝えることができます。そして、思いやりの言葉を相手に聞こえる形にすることが理想です。
思いやりの行動や動作、言葉は、優しさの感情から自然に行われるものなので、その人の在り方を表しているといえますね。
そして、「共感」は共に感じていることを、言葉と動作のセットで伝えることです。同じように感じることを表現する「同感」、同じ意見だと相手に伝える「同意」も近い内容ですが、それぞれ違いがあります。
似てますが、「共感」「同感」「同意」には違いがあります
共感:「私も共に感じる」ことを伝える
同感:「私も同じように感じた」ことを伝える
同意:「私も同じ意見である」ことを伝える
同感や同意の「私も同じ~です」と言われた場合、相手は「私と同じなんだ」と理解しやすいですね。
共感の「私も共に感じる」と言われた場合は、相手が「私の感情を感じてくれているんだ」と思うこともあれば、「同じ経験をしていない人に私の感情が分かるはずがない」と思うこともあるかもしれません。
どれも主語が「私」の自分軸の“Iメッセージ”の会話です。
共感は相手軸の会話にすると伝わりやすい
実は、共感は「相手の感情を共に感じる」ことが前提になるので、相手軸の会話にする方が、より相手に伝わりやすいのです。自己満足の共感にしないためには、相手の感情に寄り添う言葉が解決策になるわけです。
そこで、リリア株式会社が開発した共感コミュニケーションスキル『相共感®(あいきょうかん)※』をご紹介します。(※「相共感」はリリア株式会社の登録商標です)
相共感は、相手軸の「あなた」を主語にした“YOUメッセージ”を使います。
「あなたは○○と感じているんですね」と、相手の感情をそのままYOUメッセージで共感します。相手軸の会話なので相手の話題を大切にでき、相手の話題を自分の話題にすり替えることなく、会話を進めることができます。
相共感メッセージ:「それは○○ですね」を活用しましょう!
相手から読み取れた感情を「○○」の中に入れたメッセージにするのが基本の使い方です。
(例)それは(辛い)ですね。それは(悲しい)ですね。それは(腹が立ち)ますね。それは(寂しい)ですね。それは(傷つき)ますね。それは(しんどい)ですね。それは(うれしい)ですね。それは(ワクワク)しますね。それは(楽しみ)ですね。など
もし、同じ経験をしていない話題や同意できない話題であっても、相手の感情に寄り添う共感ができます。相手の表情や声のトーンから、普段と違う感情が読み取れたときだけ使ってください。その際は、感情に合った表情や声のトーンにすることも忘れないでください。
これにさらに、思いやりの言葉を添えることで、より相手の心に寄り添うコミュニケーションに近づきます。
日々の振る舞い、発言、行動の積み重ねが、あなたの印象をつくります。本来のあなたのポテンシャルに近づくため、印象で損しないために、ぜひ、印象のセルフマネジメントを意識し続けてみてください。
最後まで、お読みくださいまして、誠にありがとうございました。
次回は、『印象のセルフチェック!』をご紹介します。