〈第17回〉大人の所作で品と教養ある振る舞いを
「正しい箸の使い方」を知っていますか?
「人の印象の専門家」の吉武利恵です。
平成最後のお正月に和食を召し上がりましたか?
お正月は普段よりも、和食の割合や頻度が多かったのではないでしょうか。
「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されてから5年がたちましたね。ここで、ユネスコ無形文化遺産に登録された和食の定義をおさらいしておくと、それは「和食;日本人の伝統的な食文化」。
そして、その特徴は4つあります。
(1)新鮮で多様な食材とその持ち味の尊重
(2)栄養バランスに優れた健康的な食生活
(3)自然の美しさや季節の移ろいを表現した盛り付け
(4)正月行事などの年中行事との関わり
出典:農林水産省ホームページより
和食は、見て美しく、食べておいしい、さらに健康に良く、無病息災を願う日本のさまざまな行事にも深くつながっています。
どんなにおいしく美しい料理であっても、食べるのは人。その人の食べ方という振る舞いにより、その場の空気を良くすることも、悪くすることもできてしまいます。
和食のマナーは、日本人としての教養の1つではないでしょうか。
美しい振る舞いと合理的な動作は、男女共に品を与え、女性は育ちの良い印象を、男性は教養のある印象を与えます。
なぜ、美しい振る舞いが必要かというと、それは、他人を不快な気持ちにさせない気遣いです。
食事の場面では相手の心が開きやすいという良い効果があります。その大切なコミュニケーションの場面で、たった1つの動作で、その場の雰囲気を壊してしまわないために、和食の基本の動作を、大人の教養として身につけていただきたいです。
箸置きが食べ物で汚れないことも大切
和食の中でも「箸の扱い」は基本中の基本です。新年号という新しい時代に突入する本年、普段の何気ない動作をもう一度見直すために、「箸」に関する所作やマナーを取り上げてまいります。
正しい箸の持ち方
【撮影】本多佳子
正しい箸使いのメリットは幾つかあります。
正しい箸使いだと、箸の先端で物をはさむ作業が楽に行えます。逆に、箸の持ち方が悪いとうまく「はさむ」「運ぶ」ことができません。フォークのように箸を食べ物に突き刺す行為は和食ではマナー違反です。
そして、正しい箸の持ち方は、きちんと躾けられた育ちの良い印象を与えます。
箸の扱い
箸置きが食べ物で汚れないように気遣うことも周りの方への配慮です。
懐石料理では、お膳の端が箸置きの役目を果たします。
一部の日本料理店では、提供される料理は一口サイズの気遣いがありますが、一口サイズでない場合は、箸で一口サイズに切り分けてから口に運ぶと上品な印象になります。
基本の箸の持ち上げ方
食事中に箸の上げ下ろしは何度も行う動作です。流れる動作で行えると美しい振る舞いになります。
お茶碗や器を持っているときはどうする?
(応用)器を持ちながらの箸の持ち上げ方
お茶碗や器を片手に持った状態のときは、箸も片手で持ち上げることになりがちです。
良く見掛けるのは、片手で箸をつまみ、箸の先端をテーブルに押し付けながら、そこを支点に箸を持ち上げること。箸の先端がテーブルに接するので、その行為を見て不潔に感じる方がいるかもしれません。
大切なのは粗相をしないこと!
楽しい食事の時間に、同席者に好印象を与えるためには、美しい食事の食べ方ができるのがベストです。しかし、美しさを感じるのは相手の価値観や感性なので、難しいのですが、大事なのは「粗相」をしないことです。ここでは粗相をせず、美しくいただくポイントを2つご紹介します。
美しくいただくポイント1
左の写真のように手のひらを受け皿の代わりに添える方を見掛けます。もし、手のひらで食べ物をキャッチできたとしても、残念ながら、その手のひらは汚れてしまいます。汚れるということは粗相ですね。
大きな丼や足の付いたお皿などは持ち上げることをしませんが、片手で持ち上げることができるサイズの器であれば、持ち上げて食べるのが和食のマナーです。
美しくいただくポイント2
ぽたぽたと汁が滴る料理も同様に、器を持ち上げて汁を器で受けるようにします。
洋食では食器を持ち上げないのが食事のマナーですが、和食は持ち上げられる大きさや重さの食器は持ち上げて食べるのがマナーです。
これはNGな箸使いです!
印象マネジメントでは、好印象を与える部分の強化だけでなく、まずは悪印象を与える部分を避けることで、おのずと印象がアップしていきます。
そこで、最後に、和食のマナーのタブーを幾つかご紹介いたします。
NGな箸使い
普段、なにげなく道具として使っている「箸」も、どこまで意識した動作で食事ができているでしょうか?
ぜひ、これを機会に「正しい箸使い」と「美しい振る舞い」を意識してみてください。
最後まで、お読みくださいまして、誠にありがとうございました。日々の振る舞い、発言、行動の積み重ねが、あなたの印象をつくります。本来のあなたのポテンシャルに近づくために、印象で損しないために、ぜひ、印象のセルフマネジメントを一緒に意識し続けていきませんか?