〈第26回〉さまざまな環境でのニオイに注意
忘れがちな冬のニオイに注意!「正しいケア方法」を紹介
「人の印象の専門家」の吉武利恵です。
10月に入ると徐々に気温が下がってきます。少しずつに冬物に衣替えをしなくてはなりませんね。
急に寒くなるこの時期になると、電車の中で印象の悪い不快なニオイに出会います。それは秋冬物の衣類のニオイ。1m以上離れていれば相手のニオイも気付きにくいものですが、公共交通機関の中では他人と50cmほどの近さになることもあります。体が接する距離にいる人のニオイはどうしても気になるものです。
一昔前は衣替えの季節になると、樟脳やナフタリンなどの防虫剤のニオイが不快なニオイの代表でしたが、現在は防虫剤も進化して無臭や良い香りのするものが増えてきました。最近の衣替えの不快なニオイといえば、カビやホコリのニオイ、皮脂や汗が酸化したニオイ、染み込んだタバコのニオイなどではないでしょうか?
衣類は主に繊維で作られているので、ニオイ成分を吸着する性質を持っています。
皆さまは次の2つのニオイケアをしていますか?
質問「しまい込んでいた衣類を着用する前に、風通しの良い場所で1日陰干ししていますか?」
質問「衣類のニオイが気になる場合は、スチームをあててシワやニオイを取っていますか?」
自分のニオイは自分では気付きにくいものです。身だしなみ、エチケット、印象マネジメントの観点からも、衣類も体も清潔に保つことが大切です。今回は「冬のニオイケア」についてご紹介します。
洗濯しても衣類が臭いのは細菌が原因です。衣類の繊維に絡み付いている汗や皮脂、あか、汚れがきちんと落ちていないために、細菌が汗や皮脂を酸化・分解してエサとして繁殖してニオイの原因になります。
衣類にニオイが付いてしまった場合は、細菌を減らす必要があります。家庭でできる対応策は「煮沸処理」や「酸素系漂白剤で漬け置き」です。もし、熱湯や漂白剤に漬けられない衣類の場合はクリーニング店に相談しましょう。
まずは、衣類にニオイを付けない予防対策を取ることが大事です。冬は大して汗をかいていないから、洗濯をしなくても良いということはありません。
衣類にニオイを残さない予防対策
・抗菌効果のある洗剤や柔軟剤を使う
抗菌や消臭効果のある洗剤や柔軟剤が開発されています。メーカーの使用上の注意を守って、自分にぴったりのものを見付けてください。
・高温で乾かす
濡れた状態が長くなれば、それだけ細菌が繁殖してニオイの原因になります。洗濯乾燥機は高温で乾かすので、菌を多く死滅させることができます。最近の洗濯乾燥機は除菌や消臭機能もあるので活用しましょう。近くにコインランドリーがあれば利用する手もあります。
部屋干しの場合は、除湿乾燥機を使い、できるだけ早く乾かしましょう。衣類を干すときに風の通り道を確保する工夫も大事です。代用としてアイロンも使えます。アイロンの熱で除菌と乾燥を早くすることができます。
・洗濯機を掃除する
洗濯層には、カビや細菌が繁殖している場合があります。いくら効果のある洗剤や乾燥機を使っても、洗濯層に細菌が繁殖していたら、洗うたびに菌を付けることになってしまいます。洗濯機専用洗剤や重曹を使って定期的に掃除をすることをお勧めします。
・クリーニングに出す
季節が終わってクリーニングに出す人もいれば、季節の前にクリーニングに出す人、季節終わりと季節前の2回クリーニングに出すまめな人もいます。
汗や皮脂、あか、汚れを放置する時間が長ければ長いほど、ニオイの元の細菌が取りづらくなってしまいます。季節後には必ずクリーニングに出すようにしましょう。
【毎回洗えない衣類の対処法】
毎回洗濯が難しい衣類は、汗が付着した部分だけでも薄めた洗剤液で水洗いして、タオルで水分をふき取り、アイロンや除湿乾燥機で乾かす「部分洗い」がお勧めです。これでクリーニングの回数を減らすことができます。
室内でたばこを吸う方へ
たばこの煙は無臭でないことはご存じの通りです。繊維はニオイを吸着する性質があり、たばこの煙で燻された服は相当不快なニオイになってしまいますが、嗅覚は五感の中で順応性の高い器官、身近なニオイに気付くことは難しいのです。
たばこを吸う部屋に衣類を置かないことがお勧めですが、そうはいってはいられない場合もあります。ビニールカバーをかけてニオイが入らないようにすることもできますが、ビニールカバーでは、通気性が悪いためにカビが繁殖する危険性が考えられます。
対策として「まめに洗濯をすること」や「長期間着用しなかった衣類は洗濯してから着用する」など、周囲の方への配慮があるとうれしいですね。
冬は夏のように汗で全身がベタベタすることは少なくなります。しかし、冬はワキのニオイや足のニオイが気になる季節です。冬でも爽やかなビジネスマンやビジネスウーマンを目指すために、普段の生活習慣を少し見直してみませんか?
生活習慣で冬のニオイケアをしましょう!
・汗を拭く
夏は気温の高さから、温度調整のために全身から汗をかきます。しかし、寒い季節になると、全身から汗をかいて体温調節することは少なくなります。
しかし、緊張して汗が噴出したり、暖房の効いた室内で着込み過ぎて大汗をかくことがありますよね。汗腺の多いワキ、背中、頭、足裏など、特定の場所は汗をかいています。夏と同じで冬でも汗をこまめに拭くことで細菌の繁殖を抑えることができます。
・お風呂に入る
夏は汗をかくと体がベタつくので風呂に入る人も、体のベタつきを感じにくい冬はお風呂に入る頻度が減る人もいるかもしれません。人間の体からは汗だけでなく、皮脂やあかも排出されています。入浴で体を清潔にすることは衣類に汚れやニオイを付ける予防につながります。
・肌着を着用する
冬の衣類は毎回洗濯しないものも多くありますよね。肌着を着用することで、衣類に肌が直接触れないようにする対策が取れます。肌着は毎回洗濯できます。
もし、ワキの汗が気になる方は汗ワキパッドを使えば、毎日付け替えることがきます。
【食事、お酒、睡眠のとり方、運動の仕方】
肝臓の機能が低下すると体臭のもととなる物質の分解が上手にできなくなります。動物性たんぱく質の食べ過ぎやお酒の飲み過ぎ、睡眠不足、運動不足は肝臓の機能を弱めてしまうのでできるだけ気を付けましょう。
【腸内環境の整え方】
腸内に悪玉菌を減らして善玉菌を増やし、腸内環境を整えることは汗腺からのニオイの発生を抑えることにつながります。食物繊維やオリゴ糖は善玉菌のエサになるので摂取しましょう。乳酸菌は善玉菌の一つです。みそやぬか漬けなど、日本には優秀な発酵食品があるので、ぜひ普段の食事に取り入れてください。
ニオイケアは汗をよくかく夏だけでなく、涼しくなる秋から冬にも必要です。
11月あたりから忘年会シーズンの季節になりますね。会場が和室なら、靴を脱いで上がらなければならない場合もあります。靴下が破れていないか、足は臭くないかなど、気を付けてくださいね。結構、人は見ているものです。
年間を通して、頭皮のニオイや口臭、足のニオイなど、気を付けたいニオイケアは幾つかあります。ぜひ、こちらも合せてご覧ください。
「顔周りの身だしなみで印象アップ/汗ばむ夏に向けてニオイケアできていますか?」
最後までお読みくださいまして、誠にありがとうございました。日々の振る舞い、発言、行動の積み重ねがあなたの印象をつくります。本来のあなたのポテンシャルに近づくために、印象で損しないために、ぜひ印象のセルフマネジメントを一緒に意識し続けていきませんか?